スターバックスが併設されたTSUTAYAが図書館代わりになっても平気なのは、再販制度とライセンス経営のため


この記事は2013年4月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。

TSUTAYAとスターバックスが一緒になった「Book & Café」の店舗が目立つようになってきた。本日現在、全国で23店舗ある。これら店舗では28~118の席が用意され、購入前の本や雑誌を読むことが出来る。読んだものを購入する義務はない。どう見ても、〈スターバックス併設の図書館〉にしか見えないのだが、TSUTAYAはどうやって経営を成り立たせているのだろうか。

ブックカフェというコンセプト自体はめずらしくないが、TSUTAYAは新刊書店であって、コーヒー代だけで何冊も読めるのなら、どう考えても〈図書館〉としての利用になってしまうのではないだろうか。新品好きの日本人が、みんなが回し読みしたあとの本や雑誌を好んで買うとは思えないし、飲食で汚れる危険も高い。スターバックス側のメリットはわかるが、TSUTAYA側のメリットはなんだろう。

私と同じ疑問を抱いている人も多いようで、YOMIURI ONLINE「発言小町」では、週3回〈図書館〉として利用している専業主婦が質問をしている。

YOMIURI ONLINE/発言小町「なぜ、購入前の本を持ち込んでOKなのでしょうか」

トピ主を批判している人もいるが、実際に「Book & Café」はそういう利用をされているのだ。本当に〈図書館〉なのだ。

 六本木ヒルズの『TSUTAYA TOKYO ROPPONGI』は仮に本が売れなくてもスターバックスのカフェで売り上げが確保できるようになっています。

という記事もあるので、利益構造に関わる抜本的なアイデアがあるはずだ。調べると、TSUTAYAにあるスターバックスは直営店ではなく、TSUTAYAがフランチャイズ契約を結んで運営している。スターバックスではこれを「ライセンス事業」と呼び、直営店の出店が困難な商圏等に限って展開しているとのこと。

スターバックス コーヒー ジャパン ホームページ/ニュースリリース「スターバックス コーヒー ライセンス事業の開始により出店戦略を強化」

スターバックス コーヒー ジャパン ホームページ/ニュースリリース「スターバックス コーヒー ジャパン とカルチュア・コンビニエンス・クラブ Book & Café コンセプトの店舗の展開に合意」

個人が作成した「スターバックス店舗データベース」があり、これによると店番号2000番台がライセンス店舗らしい。TSUTAYAのほか、空港、駅、企業、病院にあり、それぞれのライセンシーは次のとおり。

つまり、TSUTAYAの中にあるスターバックスはTSUTAYA自身が運営しており、財布は同じだ。コーヒーが売れれば、それはTSUTAYAの収入になるのだ。日本の書店は再販制度による委託販売のため、売れなかった本や雑誌は返品出来る。このため、書店部分が〈図書館〉として利用されても、本や雑誌の仕入費用は痛手にならない。書店部分の維持費さえまかなえれば、やっていけるのである。再販制度を逆手に取った発想の転換と言えるだろう。