東急目黒線「不動前駅」の不動前駅通り商店街に、「ととや」はあった。1階が鮮魚店、2階がその新鮮なネタを使った寿司店になっており、テーブル席のみで客自身が注文伝票を書くスタイル。回転寿司よりは高いが、高級店と遜色ない味を思い切り食べて飲んで、1人6,000円あれば大丈夫という庶民の味方だった。
この手頃さが人気を呼び、週末は開店前から行列が出来るほどで、不動前の名物店として知られていた。売り切れたネタがあると、威勢のいい女性店員が「ヤマでーす」と叫んで、壁の品書きに×印の紙を貼っていく。次々とヤマになるネタを競うように注文したものだ。安心して使える寿司屋として、本当に重宝していた。
「ととや」が閉店したのは、2008年8月9日。1階の鮮魚店と共に突然店をたたんでしまった。繁盛店だけに、私もショックだった。「まちBBS」の書き込みによると、健康上の理由だったらしい。
その「ととや」が、12年9月12日に大崎広小路の山手通り沿いに「すし とゝや」として復活した。メニューや注文伝票のスタイルは昔のままで、良心的な価格設定も変わっていない。大崎と五反田のちょうど中間くらいで、繁華街から少し離れているせいか、それほど混雑していないようだ。JR山手線だと大崎駅からのほうが若干近い。不動前に通っていた人も、まだ気づいていないのではないかと思う。かつての人気を取り戻してほしいので、紹介しておく。
なお、不動前時代は予約不可だったが、現在は19時までに入店することを条件に予約可能だ。
復活は「品川経済新聞」でも取り上げられた。「カウンターのないおすし屋さん」をコンセプトに、不動前時代と同様に家族での利用を念頭に置いているようだ。
品川経済新聞「大崎警察署前に寿司店『とゝや』が復活―不動前での閉店から4年ぶり」