私は旅が好きだが、仕事、費用、家人の都合などがあって、思うように行けないことのほうが圧倒的に多い。ネットや雑誌で素晴らしい風景や人気の宿などを目にするとたまらなくなるが、そこを我慢しなければならない。そんなときは、こうして気を紛らわせている。
そもそも、私たちが旅の情報を得るのは雑誌やネットが多い。そこに掲載された写真に魅了され、こんな風景を満喫したい、こんな部屋に泊まってみたい、こんな料理を食べてみたいと思うのではないだろうか。
こうした写真はプロの写真家がテクニックを駆使し、数々のレタッチをした上で掲載されている。宣伝写真が素晴らしいのは当たり前で、実際に訪れるとイメージとの落差に愕然とすることも少なくない。写真は撮り方でいかようにもなる。自然だって、一年でいちばん美しい瞬間を狙って撮るわけだから、その光景と出会えないほうが普通だ。
そこで、ネットや雑誌に掲載されている宣伝写真ではなく、ブロガーが訪れて撮った素人写真を検索してみる。こうした写真はレタッチなどしていないので、ブロガーが目にしたありのままの光景に近い。構図や画質が悪いことを差し引いても、宣伝写真と全く違った印象を受けるはずだ。
ブロガーの方には申し訳ないが、宣伝写真と素人写真にどれだけ落差があるかを見て、全く印象が異なれば、「今回は見送り」と自分に言い聞かせる。実際のところ、私の経験では宣伝写真より実物がよかったことは数えるほどしかない。そうした苦い思い出を喚起する効果もあり、昂揚した気持ちをクールダウンさせ、「本当に行くべきか」を客観的に見つめることが出来る。
この方法は旅だけでなく、近場の飲食店を探すときにも使える。宣伝写真は細工がされすぎて、足を運ぶとがっかりすることがある。どうやって撮れば、あんなに広く、清潔そうで、うまそうな写真になるのだろうか。行きたいと思っても、ブロガーが撮った写真と比較してからでも遅くはない。