うちの洗面所の扉は、戸袋内に完全に収納される引き戸になっている。鴨居に埋め込まれたレールを戸車が走る上吊り引き戸で、床(敷居)には接していない。このレールが戸袋の奥で脱落してしまった。鴨居に固定していたねじが緩んだのだ。それが引っ掛かり、引き戸が戸袋から出ない状態になった。
上吊り引き戸の場合、戸袋のないアウトセット引戸にしたり、戸袋にするなら点検口を設けるべきだが、うちのマンションは戸袋の中が全くわからない。設計ミスではないかと思う。物はいつか壊れる。そのとき修理出来るようにしておかないといけない。
このマンションは築8年目だが、築2年目にもレールが脱落し、今回とは逆に戸袋内に収納出来ない状態になった。洗面所への出入りに苦労するため、管理会社経由で施工した建具業者を呼んで修理してもらった。アフターケアの年数内だったため、当然無償である。修理は引き戸を戸車結合部からはずし(前後にある結合部のうち片方をはずすと、引き戸が90度回転する)、戸袋の中を覗き込みながら、電動ドライバーに長いアタッチメントを付けてレールを再固定した。時間もそれほどかからず、世の中にはそうした道具もあるとわかったので、今回も簡単に直るだろうと思っていたら、非常に苦労した。
まず、管理会社に電話しても、築8年経っているので前回のように施工業者を呼ぶことが出来ず、別の業者がやってきた。前回は引き戸が戸袋から出ていたので、戸車結合部をはずすと簡単に回転出来たが、今回は戸袋の中にあり、引き出そうとしても全く動かない。建具職人が戸袋内を覗き込んで言うには、鴨居に止めていたねじが緩んで下に落ちており、それが長いため、戸車を止める形になっているらしい。ねじが短ければ、下に落ちたり横に倒れたりして戸車が動くのだが、なまじ長いために垂直に突き出しているのだ。
そういうえば前回の修理のとき、「二度とはずれないよう、長いねじにしておきましょう」と言われた記憶がある。これが仇になってしまった。こういうときは、再び緩んでも戸車を止めないよう、短いねじにしなければいけなかったのだ。
なにをやっても引き戸は動かず、職人にも焦りの表情が浮かんでくる。「これは最悪、壁を壊さないといけないかも」と恐れていた発言も飛び出す。そうなるとクロスも貼り直しになるだろうし、修理代も桁が違ってくるだろう。結局この日はどうしようもなく、ねじが突き出している個所まで届くアルミアングルを後日用意し、それでなんとかしようということになった。
後日、突き出たねじをアルミアングルで力任せに30分ほど押し続け(かなり音が出た)、あきらめかけたときにねじが落ちて倒れた。ねじが取れれば引き戸も動く。これでなんとか前回と同様の状況に持ち込めた。下がってきたレールを再度ネジで鴨居に固定するわけだが、ねじを真下から打つのでは、引き戸の重みでまた緩んでくるのではないかということで、レールの突き当たりに正面からねじを入れることにした。戸袋の奥まで届くアルミアングルの先端にドライバーをビニールテープで巻き付け、それでねじを水平に入れた。上に向けたねじも、ねじ穴がバカになっていると思われたので、太いものを使用した。
この職人は経験20年近いベテランだったが、戸袋の中で上吊り引き戸が脱落することはあっても、こんなに苦労したのは初めてらしい。電動ドライバーのアタッチメントも、そんなに長いものは見たことがないそうだ。このマンション用に施工業者が特注したものではないかと言っていた。「勉強になりました」と、逆に職人から礼を言われてしまった。
修理代は下記のとおり。もし壁を壊していたら、十数万はかかったそうだ。
修理代 | 13,000円 | 合計 | 13,000円 |
消費税 | 650円 |
請求金額 | 13,650円 |