山岸涼子著『
『LaLa』(白泉社)1980年4月号~1984年6月号に連載された少女マンガだが、性別・世代を超えて読み継がれるべき傑作だと思う。私自身は当時『LaLa』の存在は知っていたが、興味を持っていたのは成田美名子著『エイリアン
全7巻のオビに応募券が付いており、これを第7巻のオビの折り返し部分にある応募用紙に貼り、返信用切手90円分を同封して送ると、特製ポストカードセットが全員もらえる。応募用紙を切るとオビが挟めなくなるので、応募用紙はコピーでもよい。さらに抽選で500名に直筆サイン色紙が当たる。500枚サインするわけで、大盤振る舞いだ。これは応募するしかないだろう。締切は2012年7月末日(消印有効)。
完全版は11年11月から刊行されたが、奇しくもメディアファクトリーが同じ月にリクルートから角川グループホールディングスに買収されており、「馬屋古女王」を引き取った『ASUKA』の角川書店に戻ったことになる。『日出処の天使』という作品が、なにか力を持っているような気がしてならない。
いま改めて読み返すと、ボーイズラブ(BL)という言葉がなかった時代に、画期的な作品世界を構築したと思う。第7巻収録のロングインタビュー(『ダ・ヴィンチ』2012年1月号掲載に加筆・再構成)によれば、当初は編集部でも不評で、様子をうかがいながらの連載開始だったようだ。
「編集部には最初すごく反対されました。
聖徳太子 といえば、当時の一万円札のあの髭面しか頭に浮かばないから、いったい何を描くつもりなのかと。しかも初回の厩戸 の登場の仕方があのような形ですから、もう大不評。あの頃はBLなんて誰も認めてないし、これは男同士の恋愛の話になりそうだと編集部中が警戒して、かろうじて初回のラストに巻物が浮き上がるシーンがあったので、もしや超能力の話になるのか?ということで我慢してもらえたようでしたね」
同インタビューによれば、少女マンガで初めてBLを描いた作品は、同じ山岸涼子氏の「ゲッシング・ゲーム」(『別冊セブンティーン』1972年11月号)だそうだ。BLという先入観がないからこそ、純粋な愛の物語として男性読者も含めて夢中にしたのだと思う。
背景をあまり描き込まず、人物中心の画で見せる漫画家だが、だからこそ人物の繊細な線は誰にも真似出来ない。そこに背景も含めて完成されたカラー扉が採録されているわけで、本当に貴重である。用紙や印刷にも配慮され、カラーインクの微妙な色彩が見事に再現されている。これまでのコミックスとは全く違う。『日出処の天使』を大切に思う人なら、ぜひ手元に置いておきたい。
各巻のオビの惹句は、『ダ・ヴィンチ』2012年1月号に掲載された各界からの応援メッセージを使っているが、第7巻の佐藤嗣麻子氏(映画監督)が書いている「映画化熱望!」は違和感を覚える。佐藤氏は以前から山岸氏と親交があり、映画化も本気で狙っているのだろうけれど、ここは作品自体を評価することに徹するべきではないか。ご自身の宣伝とも受け取られかねず、アマゾンのカスタマーレビューでも批判されている。
メディアファクトリー (2012-04-23)