2011年秋、仕事がステップアップした自分へのご褒美として、ムラタ有子作品集『Yuko Murata』(トゥルーリング、2010年)を購入した。それまで画集など購入したことはなかったが、ネットでムラタ氏の作品をたまたま見つけ、虜になった。音楽ユニット「Polaris」のCDジャケットでも知られるアーティストだ。
1 ポラリス(2001年) 2 Tide(2002年) 3 Home(2002年) 4 Family(2003年)
5 Union(2005年) 6 音色(2006年) 7 光る音(2012年)
最近、マスコミでムラタ氏の作品を見かける機会が増えてきた。『ブルータス』2012年12月15日号の文芸特集表紙、「サントリー天然水」の「森の仲間の限定ラベル」などだ。後者の原画は、所属ギャラリー「GALLARY SIDE 2」のfacebookで一覧出来る。
驚いたことに、「サントリー天然水」はムラタ氏のキャラクターデザインでアニメーションCFまで制作した。早速、StreamTransportでダウンロードさせてもらった。
小動物好きの人にとって、ムラタ氏の作品は胸を鷲づかみにされるのではないか。単にかわいいのではなく、対象と微妙な距離を置き、静謐な中に独特の存在感を醸し出している。私はげっ歯類が好きなので、作品集の表紙になっている「a shy boy」がたまらない。ネットで出会ったのもこの作品で、このために画集を買ったといっても過言ではない。
『Yuko Murata』はデビュー以来の集大成で、サイン入り版画付特装版(33,600円(税込))と通常版(3,990円(税込))がある。特装版は豚革装で、ふくらまし製本という特殊な装丁により、第45回造本装幀コンクールで日本印刷産業連合会会長賞を受賞している。サイン入り版画(リトグラフ)「Dolly」は、それ自体が一つの作品として値段相応の価値がある。
リトグラフはもちろん直筆サインとシリアルナンバー入りで、同じナンバーが特装版の奥付にも打たれている。
特装版は表紙が次の3種類あり、限定各50部となっている。
- 「a shy boy」(edition1-50)
- 「rose」(edition51-100)
- 「chinchilla world」(edition101-150)
通常版の表紙は「chinchilla world」だけなので、げっ歯類が好きなら、絶対に特装版「a shy boy」を購入すべきである。
版元がアマゾンでも販売しているが、表紙が自動的に「chinchilla world」になってしまうので、購入するなら各地のアートショップ、またはそのオンラインショップで表紙を選ぶこと。本日現在、渋谷「ラムフロム・ザ・コンセプト・ストア」、恵比寿「NADiff」、岡山「Satellite」が3種類とも購入可能だ。
特に「ラムフロム・ザ・コンセプト・ストア」はムラタ氏を応援してきたアートショップで、非売品の「ムラタ有子特製ステーショナリーセット」が付く。この豪華特典は、08年に開催された「TAKEO PAPER SHOW 2008 FINE PAPERS by SCHOOL OF DESIGN」で制作されたもので、紙の専門商社・竹尾がプロデュースし、48の企業・ショップとコラボした文房具セットだ。
中身は鉛筆5本、消しゴム、メモ帳、簡易ルーペで、文房具自体は「TAKEO PAPER SHOW 2008 FINE PAPERS by SCHOOL OF DESIGN」の共通デザインだが、その表紙やパッケージにムラタ氏の作品がふんだんに使われている。げっ歯類好きには、外箱のフタ裏面が「untitled」(2002年)、外箱の底面が「lonely tears」(2004年)になっているのがうれしい。