6月20日に発生したファーストサーバのデータ消失は、ヤフー子会社とはいえ規模の大きさから報道が広がっているが、6月7日に発生した富士通館林システムセンターのファシリティ障害は報道を全く見ない。全体像をきちんと書いているブログも「Steady assimilation」ぐらいだ。
現在は内容が差し替えられているが、FUJITSU日本ポータル「館林システムセンター災害情報」には、
6月7日 6時00分に発生しました館林システムセンターのファシリティ障害では大変ご迷惑をおかけしております。
と掲載された。この日はニフティとソニー銀行が5時59分から、りそな銀行、広島銀行、北陸銀行が運営するコンビニATM「BankTime」が6時ごろ、東京スター銀行のATMが6時1分から、それぞれ障害発生したことを発表している。ソニー銀行のサイト経由で取引するソニーバンク証券は、緊急電話での注文となった。
@nifty「@niftyの複数サービスの障害発生について」
MONEYKit「【重要】ソニー銀行のサービスがご利用できない事象が発生しましたことについてのお詫び」
ScanNetSecurity「複数の銀行で同時間帯に障害が発生、現在は復旧(りそな銀行ほか)」
具体的なデータセンター名は書かれていないが、発生日時と原因が同一であること、ニフティとソニー銀行は館林システムセンターを使用していることが知られていることから、これらが館林システムセンターのファシリティ障害が原因であることは間違いないだろう。
ニフティのリリースは、原因は「データセンターの電源装置の故障」と明確に書き、ソニー銀行も「電源を起因とする事故」としている。
ニフティ株式会社/ニュースリリース「6月7日に発生した大規模障害の復旧について」
MONEYKit「【重要】システム全面ダウンについてのお詫び」
データセンターといえば、電源も冗長化されていると思っていた。館林システムセンターも停電対策として、変電所からの2系統受電、UPS設備設置(冗長化構成) 、自家発電設備設置(冗長化構成)を明記している。これだけの構成を取っていて、なぜ大規模障害が発生したのだろうか。ファーストサーバのようなローコストのサービスとはレベルが違うはずである。
他山の石とするためにも、詳細な原因の公表が望まれる。ぜひ『日経コンピュータ』の名物連載「動かないコンピュータ」で取り上げてもらいたい。
(2012年7月14日追記)
原因は、やはり富士通館林システムセンターのUPS障害だった。
(2012年7月23日追記)
『日経コンピュータ』7月19日号が「動かないコンピュータ」欄で詳細を報じた。