マークス「EDiT」2014年版が採用した新用紙「NEO AGENDA II for EDiT」が、万年筆やゲルインキボールペンで裏抜けする問題は、ブログ「いぶし銀の、文具とねこの日々。」がマークス企画開発部とやりとりしたメールを公開し、ネット上で広く知られることになった。
私も興味深く推移を見守り、下記2本のアーティクルを書いた。
- マークス「EDiT」で新採用の「NEO AGENDA II for EDiT」は万年筆で使えるか (2013/9/17)
- マークス「EDiT」が万年筆使用画像を取り下げ、万年筆に関する説明を追加すると予告 (2013/9/21)
9月23日に発売された雑誌『趣味の文具箱』27号では、特集「選ぶべき2014ダイアリー」に「ダイアリー用紙×万年筆インクの相性を見る」実験結果が掲載され、NEO AGENDA II for EDiTはモレスキンに次いで裏抜けすることが確認された。
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マークスは、2013年版より裏抜けが改善されたかのような表現をしていたことについて、比較は「当社独自基準」であるとし、状況によっては裏抜けすることがあるとエクスキューズを掲載し、現在に至っている。
※裏抜けの改善および万年筆などのご使用について
当社独自基準に基づきます。万年筆・水性マーカー・直液式水性ボールペンなどの筆記具をご使用される場合、インクの種類やお使いの筆記具の状況、筆圧などによって裏抜けする場合がございます。最初に目立たないところに試し書きをしていただき、ご確認いただきますようお願いいたします。
最大の問題は、EDiTの2014年版プロモーション画像・映像に、ラミー「サファリ」「アルスター」が使用されているにも関わらず、ラミーのカートリッジインクを使ったサファリでも裏抜けしてしまうことだ。
いぶし銀氏の指摘により、このシーンはブランドサイトからはカットされたが、店頭ではそのまま使われており、11月7日から開催されている伊東屋本店の「手帳・カレンダーフェア2014」(会場は松屋銀座8F)でも流されていた。
マークスに問題意識があるなら、この画像・映像は絶対に使うべきではないだろう。用紙の裏抜けと速乾性はトレードオフの関係にあり、NEO AGENDA II for EDiTは裏抜けが激しい反面、速乾性に優れている。これは『趣味の文具箱』の実験でも明らかだ。ならば、その用紙特性をきちんと伝え、油性ボールペンを推奨すべきではないか。
2ちゃんねるでは、NEO AGENDA II for EDiTを共同開発した王子製紙のショールームで質問した人がいる。
王子製紙担当からの返答(要旨)
マークスとの共同開発の事実:あり。Neo Agenda II for EDiTはマークス向けの専用用紙で一般に販売していない。
ベース用紙は何か?:お答えできない。
開発段階で裏抜けテストを行ったか?:回答できない。
2014用紙での裏抜けの事実は認知しているか?:ネットで話題になっているのは知っている。
NEO Agenda II for EDiTは、既製品では極近い製品はないが、上質紙ベースとのこと。
持ち帰った王子製紙抄造紙のサンプルのなかでは、OKムーンライトホワイト(52.3g/m2、紙厚65μm、白色度93%)が一番近いです。
似たようなOKムーンライトナチュラル(白色度86%)よりは白いので、2014EDiTはこの中間にある紙かな。
裏抜け具合はそっくり(水性ペンで抜けやすい)、手触りも表面ツルツル具合はかなり似ています。面白いことに、この紙謳い文句が「高白色、高不透明を兼ね備えた薄物上質紙」なのです。もちろんこれは筆記特性を示したものではなくて、印刷特性を示したものなのですが。
なんとなくマークスが誤解をしているところが分かった気がしました。
今回のマークスの対応は、私には開き直りに感じられ、企業姿勢に疑問を感じた。1日1ページでよほど優れた製品が現われない限り、「ほぼ日手帳」を使い続けることになりそうだ。