「アサヒヤ紙文具店」のリアル店舗に行ってみた


この記事は2014年3月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。

万年筆好きの人がネットサーフィンしていると、必ず行き着くのが「アサヒヤ紙文具店」のサイトだ。

万年筆はパイロットを中心に、同店特別仕様のものを数モデル扱っている。中でも「カスタム845」特別仕様「朱漆」は、受注生産ではなく常時在庫を持つほどだ。

生産にあたりましては、エボナイトの削り出しと3回の漆塗りと磨きの繰り返しおよび仕上げのために、完成までに6か月ほどを要します。 この万年筆は私にとって念願のモデルですので、限定品や受注生産品という扱いではなく、この約半年の制作期間を見越して事前に生産依頼をし、常時在庫に努めております。

店名からわかるように、この店の真骨頂は紙・レター製品へのこだわりだ。サイトでは満寿屋ますや、ライフを始めとした品揃えと使用レポートが素晴らしい。複数の万年筆とインクによる筆記試験の結果を、詳細な画像で示している。これなら店頭で触らずとも、ネット通販で充分事足りる。

満寿屋の原稿用紙全種類を扱っているのも圧巻だし、バンクペーパーを使ったライフ「ライティングペーパー T25」と、対封筒となるライフ「バンクペーパー封筒 洋形4号」は、なかなか置いている店を見ない。同店がメーカーの商品開発に関わることも少なくないようで、満寿屋のクリーム紙を使った「クイールノート」など、オリジナル商品にも意欲的だ。

普通の文房具店のように網羅的に商品を扱うのではなく、厳選された商品のみを置いたセレクトショップと言っていいだろう。サイトに掲載されたリアル店舗の外観は、まるで銀座のブティックのようだ。

定休日が水曜・日曜と変則なのは、日曜を通販の発送やメンテに充てているためだ。それだけ全国から注文があるのだろうが、せっかく東京に住んでいるのなら、ぜひリアル店舗で買い物をしてみたい。そう考えて、東急池上線「久が原くがはら駅」前のライラック通りに位置する「アサヒヤ紙文具店」へ足を運んだ。

「アサヒヤ紙文具店」

東急池上線「久が原駅」のロングベンチ1 | 2

1 「アサヒヤ紙文具店」
2 東急池上線「久が原駅」のロングベンチ

久が原は山の手の高級住宅街で、ライラック通りもお洒落な商店街だが、さすがにこの外観は少し目立ちすぎかも知れない。通行人の冷やかしが多いのか、ドアの取っ手には、

見学および、お子様連れでのご入店は、お断りしております。
ご用件をお伝えください。

というプレートが掲げられている。これは敷居が高いが、文房具なので単価は知れている。サイトで買いたい商品も決めていたので、店内に入った。

中はフローリングと木製什器による内装で、商品はサンプルを少量展示しているだけ。あとは引き出しとバックヤードに収められている。単にウッディなだけでなく、売りたい商品しか置きたくないという、ストイックな思いが伝わるレイアウトだ。ここは普通の文房具店ではなく、「アサヒヤ紙文具店」という全く別の空間なのだと思った。

商品が厳選されているので、東急ハンズや伊東屋のように時間を潰せるわけではないが、手触りを一通り確かめ、気に入った便箋やノートの在庫を出してもらう。こちらが本当に文房具を探しているとわかれば、店長の萩原氏も気さくに応対してくれる。サイトに掲載されていない商品がないかも尋ねるといいだろう。

印象に残ったのは、包装が実に丁寧なこと。「アサヒヤの愛情梱包」にあるように、通販の梱包には力を入れているようだが、同じことをリアル店舗でもしてくれた。もちろんクレジットカードも使える。近郊にお住まいの方は、訪れる価値があると思う。

ネット上では下記の記事が詳しい。

All About【ステーショナリー・文房具】「万年筆と紙がじっくりと試せる文具店」