企画展「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン『遠く』へ行きたい」は、新世代のキュレーター・成相肇氏による時代の検証


この記事は2014年9月に掲載されたものです。
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東京駅丸の内北口の駅舎内にある東京ステーションギャラリーで開催中の、企画展「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン『遠く』へ行きたい」に行ってきた。

東京ステーションギャラリー「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン『遠く』へ行きたい」「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン『遠く』へ行きたい」
(2014年9月13日~11月9日、東京ステーションギャラリー)

鉄道ファンならずとも、私の世代なら大阪万博直後の1970年10月~76年12月(74年以降はフェードアウト)にかけて行なわれた、国鉄(現・JR)の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンは記憶にあるだろう。駅を回って記念スタンプを集めるという行為は、このキャンペーンで根付いたと言っていい。電通の藤岡和賀夫プロデューサーを世に知らしめた代表作で、国鉄という頭の固い巨大な組織を相手に、いかに立ち振る舞ったかが伝わる広告史の一大事件である。

東日本鉄道文化財団が運営する美術館での開催なので、当初は旅のポスターだらけかと思っていたが、全体を「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン」「『遠く』へ行きたい」の二部構成とし、後半は同時代の視覚文化にスポットを当て、キャンペーンから一歩退いた視点でその背景や影響を考察している。中心的なモチーフは次のとおり。

国鉄を挙げての「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンは、ナショナリズムの象徴のようにも思われ、賛否両論を巻き起こした。そうしたネガティブな面まで扱っていることが、展示に深みを与えており、主催者の度量を感じる。前半のポスター展示は確かに懐かしいが、それだけだと思考停止になってしまう。

企画・構成した学芸員は、ユニークな現代アート展を手掛けてきた成相肇氏。05年度~11年度まで府中市美術館学芸員で、12年度からリニューアル開館した東京ステーションギャラリーに移った。「新世代のキュレーター」と言われているそうで、今後も注目したい。

東京ステーションギャラリーは駅舎内のスペースを有効活用しているため、同規模の美術館に比べて間仕切りや移動が多いが、それも楽しみの一つとして味わいたい。ミュージアムショップ「TRAINIART」(トレニアート)はオリジナルグッズに加え、吉祥寺「水縞」の文房具が多い。

この企画展の図録(税込2,000円)も置いてあり、これはマストバイ。通信販売も行なっているので、遠方の場合はショップまで問い合わせを。

会場内部の模様は「インターネットミュージアム」が詳しい。

インターネットミュージアム/取材レポート「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 『遠く』へ行きたい」

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