「小林信彦コレクション」の1年8か月に及ぶ配本遅れは、江口寿史氏のカバーイラストが遅れたせいだった


この記事は2019年7月に掲載されたものです。
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フリースタイルの「小林信彦コレクション」第3回配本『大統領の密使/大統領の晩餐』が、ようやく7月30日に発売されそうだ。これまで何度も延期されたが、今回は延期の原因が解消したので、今度こそ本当に出るのではないかと思う。

大統領の密使/大統領の晩餐 (小林信彦コレクション)
小林 信彦
フリースタイル (2019-07-30)
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「次回配本予定」として第2回配本『唐獅子株式会社』の帯で予告されたのが2017年1月。小林氏が17年4月に脳梗塞になったため、あとがきや著者校正で相当遅れるのではと思っていたが、17年10月には翌月発売が発表された。

だが、このシリーズを担当する江口寿史氏のカバーイラストが、この時点でまだ仕上がっていない。フリースタイル・吉田保編集長のTwitterを見ると、17年7月に江口氏に催促しているが、江口氏は17年11月下旬に「もうあげるから」とツイートしている。

ここから何度も延期があり、ネット書店での販売予告もそのたびにキャンセルされた。

江口氏の超遅筆は昔から有名だが、自分自身が愛読した小林氏の仕事で、江口氏自身も「これを機にたくさんの人に知ってもらえたらうれしいです」と書いているなら、もっとなんとかならないか。このシリーズが、江口氏のカバーイラストと新書サイズで新風を巻き起こそうとしているのはよくわかる。よくわかるが、ご高齢の小林氏がお元気なうちに、小林氏自身の新たな「あとがき」入りで、もっと多くの「小林信彦コレクション」を配本してもらいたい。少しでも早く続刊が出ることを切望する。

「「小林信彦コレクション」が全何巻になるのか」、
次に出る巻くらいはお知らせしますが、
次の次の巻は何かのか、ということは
一切「秘密」で、このコレクションはやってみたいと思います。

(中略)

あと、小林信彦氏の著作は膨大なので、
ラインナップを見せた途端、
「あれがない」「これがない」
と言われるのを避けたいと思っているためです。

というのが吉田氏の意向だが、絶版となっている傑作群のうちでも、『ちはやふる奥の細道』『ぼくたちの好きな戦争』はぜひ復刊してほしい。