「かな泉」が東京初進出した「五反田桜小路」がとんでもないことになっていた


この記事は2012年6月に掲載されたものです。
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五反田の東急池上線高架下に、2011年6月1日正式オープンしたグルメ横丁「五反田桜小路」。東京初進出の「讃岐うどんの庄 かな泉」を始め、小規模ながらユニークなラインナップで注目されたが、1年を待たずにボロボロの状態になっていた。貼り紙された案内板が痛々しい。

貼り紙だらけの「五反田桜小路」案内板

正式オープン時は6店舗、その後11年10月1日に2店舗が加わり、計8店舗でグランドオープンとなったが、私が4月に訪れた時点で半分の4店舗が撤退していた。オープン1年を待たずに半分が撤退というのは、移り変わりの激しい飲食店でもさすがに目立つ。

品川経済新聞「グルメ横丁『五反田桜小路』が全面開業―新たにたこ焼き店と居酒屋」

グルメ横丁「五反田桜小路」オープンからの推移
2011年4月オープン
大阪鶴橋のお好み焼き「オモニ」 2011年12月撤退
激辛牛すじ煮込み「居酒屋 路地裏」  
餃子日本一・久留米ラーメン「満洲屋が一番」 2011年12月撤退
讃岐うどんの代名詞「讃岐うどんの庄 かな泉」 2012年2月撤退
鶏肉・臓物・鶏もつ煮「酉焼 美智子」  
遊びゴコロ満載の立ち飲みバー「ファットBAR」  
2011年10月オープン
さみしがりや酒房「ささ」  
大阪鶴橋発 たこ焼「オモニ」五反田店 2011年12月撤退

「かな泉」だが、都内屈指のさぬきうどん評判店「おにやんま」が近くにあり、培ってきたブランドイメージをいかに東京に持ち込めるかがポイントだったと思うが、夜を中途半端な居酒屋形態にしてしまったのが最大のミスだった。

私は11年7月の夜に利用したが、店の雰囲気は「かな泉」の高級感とはほど遠く、昼間出している天ぷらを単にその場で揚げるだけではダメだと思った。居酒屋をやるのなら、それだけで客を呼べる郷土料理のつまみを揃え、その上でシメにふさわしいさぬきうどんの斬新なメニューが必要だ。酒も讃岐の老舗なら、「悦凱陣」ぐらい仕入れなきゃ。店主が大きな勘違いをしているとしか思えなかった。その後「かな泉」は4月20日に高松地裁に民事再生法の適用を申請した。五反田店は直営ではなかったが、これも時代の流れだろう。

SHIKOKU NEWS「うどんのかな泉、民事再生法申請/負債8億円」

「オモニ」「満洲屋が一番」も、味や値段で本店とは比較にならないという書き込みをネット上で散見した。「オモニ」など知名度抜群なのだから、もっと良心経営すれば客はついてきただろう。それほどテナント料が高かったのか。

どういう契約形態になっていたのかは知らないが、運営会社であるブルーブの責任も重いのではないだろうか。東大阪市のコンサルとのことだが、東急電鉄ももっと考えるべきではなかったか。立地的にはおもしろいのに、五反田を愛する者として残念である。