1990年代までは、パソコンソフトを購入してユーザ登録すると、「OFFICIAL USER’S CARD」などの物理カードを発行するメーカーが多かった。Web上で登録して終わりの現在とは、大きな違いである。
私も数社のカードを持っているが、特にジャストシステムはキャッシュカードと同等のプラスチックカードで、ユーザIDがエンボス加工で刻印されたゴージャスな仕様だった。
ジャストシステム製品は、日本語FEP(Front-End Processor)のATOK、ワープロの一太郎のほか、外出先でパソコン通信をするのに必須だったハンディカプラ「JS-HC001」を愛用していた。当時はモジュラージャックがないアナログ電話機も多く、ノートパソコンのモデムに接続出来ないため、受話器を押し当てて使う音響カプラを使わざるを得なかった。外出先で安心してパソコン通信が出来るようになったのは、ISDN公衆電話が登場した91年以降である。貴重なパッケージ写真が「私的電脳小物遊戯」にある。
JS-HC001は90年6月に購入しているので、同じ月に発売されたNEC「PC-9801NS」のために買ったのだと思う。PC-9801NSは初の32ビットCPU搭載の98NOTEで、それまでワープロ専用機のシャープ「書院」を使っていた私も、これでノートパソコンに切り替えた。
ジャストシステムのユーザ登録だが、98年に転居をしたので、Web上で住所変更の手続きをした。その後さらに転居をしたが、日本語EFPはMicrosoft IME、ワープロはMicrosoft Wordしか使わなくなっており、もうジャストシステム製品を使うことはないと思ってそのままにしておいた。つまり、98年から16年間放置していた。
先日、ジャストシステムの「User’s Card」を処分しようと思い、まさかデータが残っていないだろうと思ってユーザ登録サイトにアクセスしたら、なんと98年当時の登録データがそのまま残っていた。サイトへのアクセス方式は変更されており、新たにパスワードが必要になっていたが、98年当時の電話番号を入力したら登録用URLがメールで案内され、アクセスすることが出来た。
こちらが削除しない限り、データが残っているのはあり得ることだが、アクセス方式が変更されたのに、16年前のデータがそのまま残っていたのはどうかと思う。登録メールアドレスで登録用URLを受信しない限りアクセスは出来ないが、パスワードが導入されたのなら期限を切って登録を促し、登録されない場合はデータベースから削除するのが、望ましい対応ではないだろうか。
過去にジャストシステムにユーザ登録した人で現在不要なら、念のため削除しておいたほうがよい。ユーザIDが不明な場合は、登録メールアドレスや登録シリアルナンバーで検索可能だ。不必要な個人情報がネット上に残ったままになっているのは、避けたいものである。