「ウルトラセブン」ブルーレイBOXは第12話「遊星より愛をこめて」欠番のまま! 実相寺監督作品をなぜ世に問わない


7月1日、「ウルトラセブン」ブルーレイBOXの発売が発表された。ハイビジョンリマスターで、第1話~第25話収録のBOX Iが2014年11月21日、第26話~第49話収録のBOX IIが15年1月28日発売である。

非常に残念だが、欠番の第12話「遊星より愛をこめて」は収録されなかった。近年、本件に対する円谷プロの対応が緩和してきているように見受けられたので、ブルーレイ化の際に収録を期待するファンも多かったことだろう。

第12話が欠番になったのは、作品本編の描写が直接の原因ではなく、周辺の出版物の表記に対する被爆者擁護団体の抗議によるものだ。作品の表層部分をとらえた短絡的な表記が問題だったのであり、作品自体が描いているテーマとは大きく異なる。*1

第12話は欠番にするどころか、「ウルトラセブン」全編を通しても重要なエピソードだと思う。宇宙人の陰謀に翻弄されるアンヌ隊員の友人のロマンスを織り込み、砧公園で繰り広げられるデートの尾行シーンは、その後のダン隊員とアンヌ自身のロマンスを予感させるカメラワークになっている。下記のラストシーンも含め、その後の展開を暗示させる重要なエピソードで、これがないと「ウルトラセブン」全体の画竜点睛を欠いてしまう。

友人「私忘れない、決して。地球人もほかの星の人も、同じように信じ合える日が来るまで」
アンヌ「来るわ、きっと。いつかそんな日が」
ダンのナレーション「そうだ、そんな日はもう遠くない。だって、M78星雲の人間である僕が、こうして君たちと一緒に戦っているじゃないか」

アップを多用した印象的なカット割りは、もちろん実相寺昭雄監督である。「ウルトラセブン」で4本(他は「狙われた街」「第四惑星の悪夢」「円盤が来た」)しかない実相寺監督作品の1本が封印されてしまうのは、本当に残念である。

友人を演じるのは、「ウルトラマン」でフジ隊員を演じた桜井浩子氏。アンヌとの貴重なツーショットが見られるほか、ロケ地も「百窓」と呼ばれる特徴的な外観の建物を使用するなど、見どころ満載である。「百窓」は数々の特撮作品に使われており、特撮ファンなら必ず見ているはずである。

ウルトラシリーズロケ地訪問「百窓」

「百窓」の設計者だが、「Tomotubby’s Travel Blog」によると、正式名称は「試みられた起爆空間」で、象設計集団の富田玲子氏が建築設計事務所U研究室時代に、夫の林泰義氏と共同設計したもので、古代ローマ時代の墓をモチーフにしているという。『建築文化』1967年2月号で16ページに渡って紹介されているそうだ。

Tomotubby’s Travel Blog「セブン12話に出てきた『百窓』のモチーフは?」

「遊星より愛をこめて」を実際に見た方ならわかると思うが、被爆者擁護団体の「被爆者を怪獣扱いしている」という主張は、この作品のテーマとは大きく異なる。この作品が本当に訴えているのは、核兵器の悲惨さだろう。ブルーレイ化は、一方的な糾弾で欠番に追い込まれた作品を、再び世に問う最後のチャンスだったと思う。

関係者はこの作品に日の目を見せたくないのだろうか。批判する人々は必ずいるだろうが、毅然と対応すべきではないか。事なかれ主義の表現ほどつまらないものはない。子供番組の姿を借りながら様々な表現に挑戦したからこそ、「ウルトラセブン」は45年以上も人々に語り継がれているのではないのか。

アマゾンのレビューでも、12話欠番への批判が渦巻いている。

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  1. 「『1/49計画』サポートページ」が詳しい。 []