健康診断の精密検査で胃カメラ(上部消化管内視鏡)を受けた。かかりつけのクリニックによるものだが、最新の手順を知りたい人もいると思うで記しておく。この手順は受診機関によって細かい差があるようなので、あくまでも参考に。
胃カメラの検査で最近大きく変わったのは、鼻から入れる経鼻内視鏡が出来たこと、従来の口からの場合でも、鎮静剤を静脈注射して全く苦痛なしに検査出来るようになったことだ。昔の嘔吐感と闘いながらのイメージとは全く違うので、安心してほしい。自分の希望で選択出来る医療機関が増えているはずなので、自分に合うものを選ぶとよい。
胃カメラの前に、血液検査が必要かどうかという議論がある。これは感染症の有無を確認するためで、感染症があると胃カメラの洗浄レベルやリスク管理を上げないといけない。これについてはネット上でも様々な意見がある。
- 物理的に胃カメラの数が限られるため、感染者は最後に回して途中の洗浄時間を短縮する必要がある。そのほうがリスク軽減にもなる。
- そもそも感染症の有無に関わらず、洗浄は毎回完璧にやるべきであり、血液検査自体が不要である。
- 洗浄は完璧にやっていても、医療従事者へのリスク情報として検査が必要。手術でも同じ考え方が採られている。
検査を受ける側としては、当然洗浄は完璧にやってほしいが、3の考え方も理解出来る。血液検査の理由が1か3かは訊かないとわからないため、この辺は医療機関を信じるしかないだろう。この血液検査料を受診者が負担するかどうかでも議論があり、リスク管理は病院自身のためなので、受診者には請求しないところもある。
OKWave「胃カメラの検査前の感染症の検査について教えてください」
血液検査以外にも、検査方法の確認や組織を取る生検に備えての同意書提出が必要になるため、絶食して医療機関に行っても、その場ですぐは検査を受けられないことがほとんどだ。精密検査が指示されると、一刻も早く受けたいと思うだろうが、ここは手続きを踏んで、医療機関の空き状況を確認しないといけない。この辺は初診でも電話で教えてくれるはずなので、まずは問い合わせるとよい。
私の場合は、胃カメラで特に苦労した経験がないこと、クリニック側が「口からほうが視野が広くて見えやすい」と勧めることもあり、経口内視鏡+鎮静剤を選んだ。鎮静剤が悪影響を与える場合があるので、前立腺肥大や緑内障がないかは何回も確認される。指導どおり前夜から絶食し、当日は同意書に署名・捺印して提出。名前を呼ばれて処置室に入る。このクリニックでは特に着替えたりはしない。
- 胃の動きを抑える白い液体(消泡剤)を飲む。
- 舌に麻酔するため、スプレーをする。
- 喉に麻酔するため、シロップを口に含む。舌が浸るとしびれるだけなので注意。飲んではダメで、5分間我慢して吐き出す。私は唾液が多いので、これがいちばんつらかった。
- 血圧測定。
- 静脈注射のための留置針(翼静針=翼付静注針)を事前に手の甲に刺す。手の甲は痛いという人も多いが、翼静針なら短いため無痛である。
- 診察室に移動してベッドに寝る。胃カメラと言うと専用の検査室を想像する人もいると思うが、このクリニックでは機械を診察室に引いてきて、そこで検査する。
- 留置針から鎮静剤を入れる。
- 喉に麻酔のスプレーをして、マウスピースをする。
そして胃カメラが入るわけだが、この辺から記憶がなく、次の瞬間もう検査が終わっている感じ。この間10分ぐらい検査したはずだが、全く記憶がない。寝たつもりはないのに、なにも覚えていない。鎮静剤を使うのは2回目だが、前回も気づいたら終わっていた。個人差が大きいと思うが、私の場合は鎮静剤が静脈に入って身体を巡った瞬間、いきなり利く感じだ。
- 鎮静剤が醒めるまで、回復室のベッドで休む。この日は1時間45分横になった。特に眠いわけではなく、ぼんやりとしている感じ。休憩後も車の運転などは禁止。アルコールも控えるように言われる。
このクリニックは回復室があるので、鎮静剤をやや多めに使えるのかも知れない。「胃カメラを楽に受けようよ!」によると、回復室が完備していないところでは、鎮静剤を抑えるために患者の苦痛が完全に取れないこともあると書いている。翼静針の使用や、鎮静剤を含めて5種類の前投薬など、きめ細かな対応がよいと思う。
今回の費用だが、事前の血液検査はこちら持ちで7,000円(3割負担で2,100円)。胃カメラは幸い異常なく、組織の生検も不要で、ピロリ菌の検査だけオーダーした。これが23,690円(3割負担で7,110円)。2回の通院で支払合計9,210円だった。
胃カメラを初めて受けられる方の不安が、少しでも軽減されますように。