JPドメインとgTLDドメインをレジストラ移管する場合の注意点


この記事は2012年7月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。

ドメイン名を管理するレジストラを移管する場合、JPドメインの場合は簡単だが、gTLDドメイン(generic Top Level Domain、.com、.net、.orgなど)はちょっと面倒だ。単なる移管ではなく、契約者も変える委譲となると、神経を遣う。実際に複数レジストラから委譲した経験をまとめておく。

(JPドメインの場合)

更新日まで31日以上あることが条件。国内レジストラが直接管理しているため、基本的に新レジストラ側で移管申請を出すだけでよい。新レジストラから現レジストラへ連絡が行き、現レジストラから現契約者に意思確認のメールが行く。レジストラによって方法は異なるが、メールやサイト上で承認すれば受け付けられる。

委譲の場合は、新レジストラに移管されてから契約者の変更を行なう。汎用JPドメイン(.jp)の譲渡は簡単だが、属性型・地域型ドメイン(.co.jpなど)は各種書類の提出が必要なので、まずは移管と同時に連絡先・請求先を変更する。これで管理画面の操作権限が付与されるので、DNSが変更可能になる。DNSの変更権限があること=ドメインを保有していることなので、運用上はこれで問題ないだろう。

属性型・地域型ドメインの場合は、「JPRS WHOIS」で公開される技術連絡担当者も新契約者にしておくと安心だ。登録担当者はそのドメインに所属する者でなければならないが、技術連絡担当者は別ドメインで取得したJPNICハンドルで登録すればよい。

注意が必要なのが、企業向けのパッケージサービスなどで、ドメイン名の管理とホスティングがセットになっている場合。レジストラ移管=ホスティング解約と見なされることがあり、事前に確認が必要だ。このケースでは、解約届を出してホスティング先も変更するしかない。富士ゼロックスが中小企業向けに出しているアウトソーシングサービス「beat」などが代表例だ。

(gTLDドメインの場合)

更新日まで15日以上あることが条件。海外の上位レジストラが管理しているため、英文メールが飛び交う。移管に必要なコードも自分で確認・取得し、新レジストラに伝えなければならない。委譲などで、現契約者のITリテラシーが低い場合はハードルが高い。

ただし、国内のICANN認定レジストラが管理している場合は、gTLDドメインのレジストリを直接書き換える権利を持っているため、日本語でメールが来る。日本のICANN認定レジストラは現在15社だ。

メールは、すべてwhoisデータベースに登録されているadmin email(ドメイン管理担当者)に飛ぶ。まずはこのアドレスが正しいかを確認し、必ず契約者に届くようにすること。委譲の場合は、現契約者に頼んで新契約者のアドレスに変更してもらうと、その後の手続きがスムーズだ。レジストラによっては、admin emailをレジストラ自身にしていることもあり、その場合は移転申請をしてからの変更になる。

登録後60日以内、または有効期限まで9年以上のドメイン名は移管出来ないというルールもある。10年契約のドメイン名は、1年経たないと移管出来ないわけだ。

実際の手順をまとめておこう。

  1. 現レジストラのAuth-Codeを確認する

    移管に必要な認証コードをAuth-Codeと言う。現レジストラの管理画面で確認するか、移管申請すれば発行される。上位レジストラがMIT(Melbourne IT)の場合は、別に発行されるRegistryKeyを画面に入力し、そこで表示されるAuthInfoがAuth-Codeである。RegistryKeyをAuth-Codeと思い込んで申請しないよう注意(間違えやすいため、RegistryKeyで受け付けている新レジストラもある)。

  2. 現レジストラのトランスファーロックを解除する

    不正に移管されないよう、レジストラによってはトランスファーロックというパスワードを追加設定しているので、現レジストラの管理画面で解除しておく。

  3. admin emailを確認し、新契約者に変更する

    繰り返すが、admin emailが非常に重要である。必ず管理画面で確認し、契約者に届くようにする。委譲の場合は、この段階で新契約者にしておく。レジストラ自身になっている場合は、移管申請のステップで変更されることを確認する。

  4. 新レジストラに移管申請する

    Auth-Codeを新レジストラに知らせる(1で述べたとおり、RegistryKeyがある場合は、RegistryKeyを知らせるだけでよいレジストラもある)。画面から入力したり、メールで知らせるなど、レジストラによって方法は異なる。費用が発生する場合も、このステップで案内がある。

  5. 新レジストラから意思確認のメールが届く

    これが最も重要。新レジストラの上位レジストラから英文メールが来る(国内のICANN認定レジストラなら日本語)。くれぐれもスパムメールと間違えて削除しないこと。メール本文中に承認ページへのリンクがあり、それをクリックしてAuthCodeを入力する。

  6. 現レジストラから確認メールが届く場合もある

    現レジストラの上位レジストラから英文メールが来る場合もある(国内のICANN認定レジストラなら日本語)。メール本文中に承認ページへのリンクがあるが、ここで承認しなくても、gTLDドメインの場合は4日経てば自動承認される。承認しないと申請却下になるJPドメインと対照的だが、gTLDドメインはAuth-Codeを送っていること自体が承認なのだろう。ここで届く英文メールサンプルを、日本ベリサインが上位レジストラ別に紹介している。

  7. 新レジストラから移管完了メールが届く

    新レジストラから管理画面のパスワードが発行される(郵送の場合もある)。

インターネットが普及してから時間が経過し、企業サイトの場合は担当者が変わって、現在のレジストラがどこなのか、すぐにはわからないこともある。レジストラがわかっても、管理画面のパスワードを紛失していたりすると、再発行に時間がかかる。移管手続きを甘く見てはいけない。こうした事前確認がすべて出来てから着手しないと、予定に間に合わない恐れがある。