米沢市のヨネザアド・カタツムリ社が5月15日に発行した、ますむらひろし氏の豪華本『ヨネザアド幻想』が19日に届いた。14日には米沢市で出版記念祝賀会が開かれた。
米沢興譲館同窓会公式サイト「ますむらひろしさん(S46卒)地元サイン会・漫画家、作品集出版(2015年5月16日山形新聞より)」
ますむら氏の表記が今回すべて「ますむら・ひろし」になっているが、過去にも『ヒデヨシのおもちゃ箱』(2006年、メディアファクトリー)で中黒が入っていたので、改名ではなく単に読みやすくしただけと思う。
梱包状態はちょっと疑問だった。ヤマト運輸が4月から始めた「宅急便コンパクト」の専用薄型BOXで送られてきたが、豪華本はA4判・厚さ2.8ミリで、マチの部分を考慮すると本当にギリギリ。クッション材などは入っておらず、これは輸送中に痛むのではと思っていたところ、表紙の角が折れて届いた人がいることをTwitterで知ったますむら氏のほうから、交換を申し出るようアドバイスしていた。ヨネザアド・カタツムリ社のサイトにも5月20日付で次の掲示が出た。
【お侘び】本の配送時に凹み等の破損が発生してしまいました。お詫び申し上げると共に梱包面で改善を図って参ります。現在発送中、対応前の書籍については、到着後にご確認いただき、凹み等がある書籍については交換させて頂きますので、次のメールアドレスまでご連絡下さい。
私もカバーと帯の下部がほんの少し破れていたが、許容範囲とする。残念ながら1か所誤植があったそうで、正誤表が同封されていた。初めての出版事業で不慣れな点ばかりだと思うが、これらの点を今後に活かしていただきたい。
ますむら氏が出来る限り直筆サインを入れると宣言していたとおり、見返しには「in よねざあど」と添えられたヒデヨシ横顔のサインが入っていた。ますむら氏は1,200冊にサインしたそうで、変則バージョンもあるらしい。
1200冊のサインした。右手で描いたのに、左腕をあげると痛い。原因は本の重さ。一冊づつ片手で持つことを繰り返したら、筋が疲れたんだろう。 pic.twitter.com/pCDHeriF32
— ますむらひろし (@masumurahiroshi) 2015, 5月 18
大量のサインは、繰り返しなので、飽きてくる。そこで発作的に、歌ってる歌詞や、カタツムリを描いたバーションもあります。 pic.twitter.com/2rBkqtF7tj
— ますむらひろし (@masumurahiroshi) 2015, 5月 18
ほかに下記のポストカード3点が同封されていた。
- 豪華本表紙(ますむらひろし原画展「ヨネザアド帰還」(2000年8月10日~21日、よねざわ市民ギャラリー)ポスター原画)
- 「再会」(『ガロ』1973年11月号掲載)の1コマ
- 豪華本裏表紙「猫の目」紋章(描き下ろし)※白地に黒
豪華絢爛本「ヨネザアド幻想」のための紋章 、発売は春、出版社はヨネザアドカタツムリ社! pic.twitter.com/oZwDEFvXOz
— ますむらひろし (@masumurahiroshi) 2015, 2月 14
豪華本は分厚いハードカバー、製本は糸かがり綴じで、ますむら氏が絶賛するように2,500円(税込)は安いと思う。この造本なら5千円でも納得する。A4判のコミックス自体めずらしく、3か月に及ぶ加筆で原稿の繊細な描写が伝わってくる。カラー口絵には欲しいと思っていた米沢市制100周年ポスターや米沢オフィス・アルカディアの新幹線ポスターも収録され、米沢関連の集大成になっている。
奥付が『アタゴオル・スケッチ』(1981年、朝日ソノラマ)と同じデザインであることに気づいた。ヒデヨシ切手に押された消印「BEGINNING STONE」は、ますむら氏が最初住んでいた千葉県流山市初石のことで、「1971.3.26」は上京した夜汽車に乗った日。『アタゴオル・スケッチ』の日付「3110 13.53」はなんだろう。切符番号や到着時刻だろうか。
カタツムリ社と言えば、1981年に仙台で設立されたカタツムリ社があるのだが、今回そちらとの関係はどうなっているのだろうと思っていたら、言及があった。
80年代に、実際にカタツムリ社が仙台に作られたのを知った。シャイコナ読んだらしい。えー根性してるなあ、と思った。潰れるだろうと思ったが潰れない。という訳でヨネザアド・カタツムリ社になった。ワタクシは「斜平山カタツムリ社」を推挙したんじゃがのう。頑張れ、ヨネザアド・カタツムリ社。
— ますむらひろし (@masumurahiroshi) 2015, 5月 18