両国の「すみだ北斎美術館」で始まった「ますむらひろしの北斎展 ATAGOAL×HOKUSAI」に行ってきた。2016年にオープンした墨田区立の美術館で、妹島和世設計の独特な外観だ。この4階と3階を使った企画展となる。
「ますむらひろしの北斎展 ATAGOAL×HOKUSAI」
(2018年6月26日~8月26日、すみだ北斎美術館)
展示形式は八王子夢美術館「ますむらひろしの北斎展 ATAGOAL×HOKUSAI」(2016年2月6日~3月27日)と同様、ますむら氏の原画と北斎のオリジナル作品(版画、版本、複製版画)を並べ、目の前で比較出来るようになっている。八王子夢美術館は複製版画中心だったが、すみだ北斎美術館は版画・版本を所蔵しているので、これが見られるのが大きい。
会期が前期(6月26日~7月29日)と後期(7月31日~8月26日)に分かれ、北斎作品と合わせて139点。前期はうち74点の展示で、アタゴオル作品も29点展示されている。八王子夢美術館が一度に128点展示したのに比べると小ぶりだが、北斎が生涯のほとんどを過ごしたと言われる墨田区での開催で、この展覧会のために描き下ろされた新作「漁師図」が鑑賞出来たので満足。
02年に販売された「招きヒデヨシ 食いだおれ明神」が展示物となっているのは、コレクターとして誇らしい限り。後記は「せれそん日本に招き明神」「ダラケ明神」が展示される。02年とあるので、01年のセラミックアート招き猫ではなく、02年の販売品だろう。
4階では北斎の常設展もあるため、外国人が多かった。そのまま「ますむらひろしの北斎展」を鑑賞する外国人も多く、アタゴオルの世界観がわかるのか興味深かった。
物販では、なんといっても図録である『ますむらひろし北斎画集』が、「漁師図」を加えて改訂版が出たのが大ニュース。八王子夢美術館のものは会期中に完売し(増刷分も完売)、再販が望まれていた。混同しないよう、背表紙が初版は青色、改訂版は赤色になっており、それぞれ「アオ版」「アカ版」と呼ばれる。いまなら「風呂猫マーケット」で通販も可能。「アオ版」との相違点は次のとおり。
1)「ますむらひろしの北斎展」のために描きおろした新作1点「漁師図」と著者解説の追加
2)一部レイアウトを変更して、より見やすいビジュアルに
3)再販に際しての著者あとがきの追加
このあとがきが、またよい。ますむら作品の彩色は、すべて夫人の増村昭子氏が手掛けていることが公表されているが、それを北斎を支えた娘のお栄に重ね、長年の苦労をねぎらっている。二人合わせてのゴロナオ工房なのであった。
なお、17年7月に発売されたアタゴオル切手シートがまだ販売中。昨秋のギャラリー猫町「ますむらひろし原画展」と同じポストカードとのセット販売だが、まだ完売していないのか。限定1,000シートで絶対に売り切れると思い、よねざわ市民ギャラリー「ますむらひろしの世界展」初日に行った者としては口惜しい。この価値がわからないのか。
アタゴオルカレンダーの2019年版が早くも出ており、こちらは5年ぶりに「ATAGOAL×HOKUSAI」。
【ますむらひろしの北斎展/グッズ情報】
「ATAGOAL×HOKUSAI」2019年カレンダー
ますむら先生が自選された11点に、本展覧会のために描きおろした新作1点を加えて構成されたカレンダーです。
※当館ミュージアムショップで発売いたします! pic.twitter.com/a66U3ABOgT— すみだ北斎美術館 (@HokusaiMuseum) 2018年6月24日