大規模修繕工事の年にマンション管理組合理事長になった場合の対応、理事会は8回開催したが土日祝で仕事に影響なし


この記事は2017年5月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。

住んでいるマンションが築11年を迎え、1回目の大規模修繕工事を行なった。私が管理組合の理事長だったので、どんな対応をしたかまとめておく。マンションの規模にもよるが、管理組合の役員は区分所有者なら誰でもなる可能性があるわけで、参考にしていただきたい。

結論から書くと、組合員全員対象の工事会社ヒアリング、定期総会、工事説明会、重要事項説明会を除くと、理事会単独で集まったのは月1~2回で計8回だった。施主検査などがあるので、仕事の半休などを覚悟していたが、すべて土日祝に設定してもらえた。あとはポストを使った書面のやりとりだけである。

前任の理事会時代に実施内容は決定していたので、私の代では粛々と実施するだけだったが、補足すると工事監理はマンション管理会社に任せた。元々信頼しているデベロッパーの子会社なので、大規模修繕工事も誠実に実行すると考えた。管理組合が直発注して費用を浮かせる事例も耳にするが、仮に建築の専門家が組合員にいたとしても、本業を休んでまで対応出来ないだろう。なにかあれば意見するつもりだったが、特にそんなことはなかった。工事会社も事前に組合員からの推薦を募った上で、良心的な業者を選定してくれたと思う。

(工事概要)

低層の小規模マンションで、工事期間は3月~6月の4か月。7月に一部残作業があったが、6月までに主な工事は完了した。工事期間中はエアコンが使えないので、夏場までに終えるのが業界のセオリーらしい。工事は平日・土曜で、日曜・祝日は休工。

工事会社はマンション管理会社が5社から合い見積もりを取り、見積金額と会社規模から2社にヒアリングを実施して決定した。低層なので工事用足場は一般的な枠組足場ではなく、コスト削減出来るクサビ式足場を選んだが、組立時のカンカンという打音が響いた。

足場で囲まれることで薄暗くなることは承知していたが、外壁工事中に汚れるのを防ぐため、雨戸を外して室内保管するのが想定外だった。リビングだと雨戸も巨大で、非常に邪魔だった。雨戸自体を外すのにも苦労した。このマンションはサッシ両端に特殊な部材が付いていて、工事会社が外して保管していたが、取付にはドライバーの関係で、サッシの開錠が必要となった。これを含めて工事期間中に在宅が必要だったのは3回。うち平日が2回で、これは家人に在宅してもらった。

理事会で最も時間を要したのが色彩確認。外壁タイルは同じものが販売されていないため、そっくりなものを新たに焼くことになったが、色味・凹凸の再現が難しく、見本焼きを3回行なった。塗料も新築時の完成図書に記録されていない場所があり、現場で試し塗りをして比較するなど決定まで時間がかかった。

タイル下地を調査した結果、あまり痛んでいないことがわかり、見積金額を下回ることが判明したため、浮いた費用で見送っていた工事や以前から気になっていた場所の修理を追加した。これ自体は理事長として主導出来たと思うが、専用庭のタイルひび割れの抜本対策や、ガード付きで明るい屋外照明の選定に時間を要した。

(理事会の動き)

《前任の理事長時代》

  • 9月
    • 工事会社ヒアリング(日曜)約3時間 ※組合員全員対象
      ・2社からプレゼン・質疑応答
  • 10月
    • 前任の理事会で工事会社を内定
  • 11月
    • 定期総会(土曜)約2時間 ※組合員全員対象
      ・大規模修繕工事実施を承認(工事会社、監理会社を決定)
      ・役員交替

《ここから私が理事長》

  • 1月
    • 理事会(日曜)約1時間
      ・工事内容確認
      ・工事説明会調整
      ・工事監理業務委託契約書に署名捺印
  • 2月
    • 理事会(祝日)約15分 ※工事説明会の前に開催
      ・色彩確認
    • 工事説明会(祝日)約2時間 ※組合員全員対象
      ・工事請負契約書に署名捺印
    • 理事会(日曜)約1時間
      ・進捗報告
      ・色彩確認
  • 3月
    • 理事会(祝日)約1時間
      ・進捗報告
      ・色彩確認
      ・着工届、現場代理人・主任技術者選定届、主要協力会社使用届、現場組織表・連絡先届受理
  • 4月
    • 重要事項説明会(日曜)約10分 ※組合員全員対象
      ・大規模修繕工事に伴い、定期清掃業務が出来なくなるための減額説明
    • 理事会(日曜)約1時間半 ※重要事項説明会に続けて開催
      ・進捗報告
      ・下地補修実数調査報告(調査で減額になることが判明、追加提案工事を検討)
      ・色彩確認
      ・管理委託契約変更覚書に署名捺印
    • 足場に上がるため、障害保険加入の書類提出(書面のやりとり)
    • 理事会(土曜)約2時間
      ・追加提案工事説明・承認
      ・ゴールデンウィーク中の現場管理説明
      ・色彩確認
      ・足場途中経過検査(ヘルメット・安全帯・軍手着用)
  • 5月
    • 理事会(土曜)約2時間
      ・進捗報告
      ・追加提案工事説明・承認
      ・色彩確認
      ・足場解体前検査(ヘルメット・安全帯・軍手着用)
  • 6月
    • 追加提案工事説明・承認(書面のやりとり)
  • 7月
    • 追加提案工事説明・承認(書面のやりとり)
    • 理事会(日曜)約1時間半
      ・進捗報告
      ・竣工検査
      ・支払指示書に署名・捺印
      ・感謝状に捺印(工事会社側が用意していた)
    • 残工事完了・手直し補修確認を了承(書面のやりとり)

理事会として気を配ったことは、完成図書を完備して次の大規模修繕工事につなげること。時間を要した色彩確認、サッシの特殊部品、余ったタイルの保管場所などを明記した。

(工事期間中の各住戸の対応)

工事期間中、各住戸で対応した内容は次のとおり。周知はチラシ・掲示板・特設したWeb掲示板で行ない、回収等は専用ポスト・BOXで行なった。

  • 駐車場利用者の外部駐車場への移動(駐車場スペースに工事事務所・資材倉庫等を設置したため。移動中の外部駐車場代は工事業者負担)
  • 足場設置中はバルコニーのCSアンテナ取り外し
  • 足場設置中はサッシに防犯簡易錠を取付(希望者のみ、工事後回収)
  • 外壁工事中はバルコニー内整理(不用品は工事会社が無償処分、ウッドデッキ・人工芝等を使っている場合は有償で取り外し)
  • 外壁工事中は全窓の雨戸取り外し・室内収納(収納用の大型ビニール袋配布)
  • 外壁高圧洗浄時は水が室内に入る恐れがあるため、サッシ下にタオル・雑巾を詰める(実際は問題なし)
  • サッシ両端の部材取付のため在宅(半日)
  • 玄関枠塗装時に内側を塗るため在宅(下塗り・上塗りの2回×半日)
  • 工事完了時のアンケート

外壁工事中は工事会社がサービスバルコニーの手すりを取り外し、エアコンの化粧カバーも取った。手すりは廊下に保管、カバーは近くの足場に組み込んでいた。