HDDのデータ消去・物理破壊をするときに注意すべきこと


この記事は2013年6月に掲載されたものです。
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そろそろ、Windows XPからWindows 7へのデータ移行を進めなければならない。以前買っておいた1TBの3.5インチ外付けHDDを介して行なおうと思い、データバックアップを進めていたところ、使用後1週間で壊れた。ロジテック「LHD-ED1000FU2」である。

ロジテック「LHD-ED1000FU2」

ロジテック「LHD-ED1000FU2」(ロジテックダイレクトより)

静音設計が売りのはずなのに、使ってみるとファンの音が異様に大きい。不審に思っていたところ、下記のエラーメッセージが表示された。

ディスク構造が壊れているため、読み取ることができません。

これはNTFSのMFT(マスタファイルテーブル)の破損で、ハード的にはドライブを認識するが、ファイル管理情報が失われ、未フォーマットの0バイト状態になってしまう。最も重篤なエラーで、chkdskコマンド、TestDiskを試したが、全く効果なかった。

バックアップ用なのでデータ復元の必要はないが、これではなんのためのバックアップかわからなくなる。「二度とロジテック製HDDは買わない」と腹を立てていたが、冷静に考えるとHDD本体は別メーカーが提供しており、HDDの故障は運によるところも大きい。他社製でも壊れるときは壊れるようで、RAID構成にしていないのなら、複数台に同じものをバックアップしてリスク分散するしかない。

仕方ないので、LHD-ED1000FU2はデータ消去してから廃棄することにした。念のため下記の方法を取った。

  1. データ消去ソフトでNSA方式で消去し、確認作業を実施する。

    まず、手持ちのソースネクスト「ドライブクリーナー」でデータ消去した。企業でも推奨されているNSA(米国国家安全保障局)方式(乱数⇒乱数⇒00の3回書き込み)+ベリファイを選択したが、1TBの処理時間はさすがに長い。ディスクI/Oや転送速度で変わると思うが、

    • ディスク:PC側・外付HDD側ともSATA 7,200rpm
    • データ転送:USB2.0

    この環境で処理時間は約66時間と表示された。実際にはUSB1.1並みの処理である。処理をバックグラウンドで進めたところ、不在中にWindows Updateの自動更新で再起動がかかり、強制終了されてしまった。Windows Updateの内容によっては再起動がかかるため、このような作業中は自動更新を無効にしておくべきだった。

    Windows Updateの自動更新を無効

    Windows XPでは[コントロールパネル]⇒[自動更新]で無効にする。


    作業をやり直したところ、強制終了でおかしくなったためか、今度は約160時間という処理時間が表示された。約1週間である。本当に動いているのか不安だったが、Windows Updateの自動更新を無効にして放置したところ、ほぼ予定の時間で終了し、ベリファイ結果も正しく表示された。自動更新を元に戻して終了である。

  2. HDDを分解して物理破壊する。

    次に、物理破壊を試みた。個人情報の塊であるため、念には念を入れたい。HDD本体はトルクス(ヘクスローブ)型のネジが使われており、T8用のドライバが必要だ。特殊ドライバなら、兼古製作所のAnexブランドがオススメ。ダイソーに200円の廉価品も卸しているが、超大型店でないと置いていない。最初から通販や東急ハンズで使いやすいものを買ったほうが確実だと思う。機種によってはT6を使うこともあるので、両方持っておくとよい。T3~T8のビットを差し替えるセットもある。

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    分解すると、HDD本体はサムソン製(HD103UJ)だった。「価格.com」のレビューは4.72点で悪くないが、壊れるときは壊れるのだ。プラッタは厚さ1.8mmのアルミニウム合金が3枚入っていた。ガラス製なら粉砕を考えていたが、これは非常に硬く、表面にキズをつけることしか出来なかった。ネットで検索すると、手で曲がる薄いアルミ合金もあるようだが、これは無理。

  3. 今後は複数メーカーのHDDでバックアップする。

    今後の対策だが、USBバスパワーの2.5インチ外付けHDDを複数メーカーから購入し、少なくとも2台同時にバックアップすることにしたい。

    どんなによい製品でも、同じものを複数買うと同一ロットになる可能性が高く、不良があった場合は同時に発生しやすい。このため、I-O DATA「カクうす」(HDPC-UT500W)と東芝「CANVIO SLIM」(HD-SA50GS)を購入した。HDDは必ず壊れるという前提で、敢えて1TBではなく500GBにした。

    CrystalDiskInfoで確認したところ、HDD本体はI-O DATAがSeagate「ST500LM012」、東芝が純正「MQ01UBF050」だった。サムスンのHDD事業はSeagateに買収されたので、サムスン時代の型番と合わせて「ST500LM012 HN-500MBB」と表示されている。

    ITpro/ニュース「Seagate、SamsungのHDD事業買収を完了」