フォントの名称で頭に「DF」が付くのは、ダイナコムウェア(旧ダイナラブ・ジャパン)のダイナフォント(DynaFont)である。手頃な価格で使い勝手のよいフォントが揃うため、初期のWindowsユーザに人気が高かった。宛名ソフトや素材集に数書体がバンドルされることも多かった。ダイナフォントで作成されたファイルは相当あるはずだ。
ところが、古いバージョン(Ver.2.500未満)のダイナフォント(TrueType)を埋め込んだ縦書きのPDFファイルを、最近のAdobe Readerで表示させると、「埋め込みフォントを抽出できません」というエラーメッセージが出て、ひらがな・カタカナが欠落することがわかった。拗音、促音、長音などは表示される。フォントサイズを巨大(220ポイント以上)にした場合は欠落しない。
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DFG極太楷書体の縦書き
1 Word作成時
2 埋め込んだフォントをAdobe Reader 11.0.3で開いた状態
3 フォントが220ptだとAdobe Reader 11.0.3で開いても欠落しない
この現象は、ダイナコムウェアもAdobe Creative Suite 6で発生するとして紹介しているが、WordをAcrobat DistillerでPDFにした場合も発生する。
名指しは避けているが、Adobeもこの現象について案内をしている。埋め込みがサポートされていないフォントだとしている。
この問題は、PDF ファイルへの埋め込みがサポートされていない TrueType フォントが使用されている PDF ファイルにおいて発生することが確認されています。PDF の作成段階で、埋め込みがサポートされているフォントを使用することでエラーを回避することができます。使用しているフォントが PDF への埋め込みをサポートしているかどうかについては、フォントの提供元にお問い合わせください。
作成当時のAdobe Reader(旧・Adobe Acrobat Reader)では正しく表示されていたのだから、正しく埋め込まれていると思うのが普通だ。いまになってサポート外だったと言われても困る。ダイナフォントの普及率を考えると、これを埋め込んだ縦書きのPDFは相当つくられているはずだ。自治体の広報誌で、過去のものが被害にあっているケースも散見される。
Adobe Reader以外のPDF Viewerを使うと正しく表示されるが、Adobe Readerのユーザが圧倒的に多いため、過去に作成したファイルが閲覧出来ない事態になっている。単なるフォントの問題ではなく、ドキュメントのアーカイブに影響する重要な問題だと考えるが、いかがだろうか。
この問題については、次のブログが非常に詳しい。
Halellujah Avenue Traffic Online「PDFに埋め込まれてるはずのフォントが表示/印刷されない問題」