私が株式投資を始めたのが2008年6月末なので、ちょうど丸5年が経過した。この間、リーマンショック、東日本大震災と様々な出来事があった。5年間のまとめをしておきたい。
まず、この5年間に到達した心境のようなものを書くと、株というものは明日なにが起きるかわからず、他人と逆のことをしなければ儲からない。そうしたリスクが常にあり、逆にそのリスクを楽しめる人でないと疲弊してしまう。具体的には、投資を本業にする覚悟がない限り、余裕資金で運用していくことが必須だと思う。そうでないと、ギャンブルになってしまう。ギャンブルではなく、あくまで投資として冷静に対応出来るかに尽きる。株の世界ではよく「自己責任」という言葉が使われるが、これを突き詰めると「自分で責任を負える金額内で投資しろ」ということになると思う。
入金額 | 当初6,000,000円 ⇒ 現在7,680,000円 | |
売却益・配当の扱い | 売却益 | 税引前20%を預金 |
配当 | 税引後100%を預金 | |
配当累計 | 894,359円(税引前) | |
譲渡損益累計 | 2,651,784円(税引前) | |
含み損益 | ▲304,495円 | |
差引損益 | 3,241,648円 | |
入金額に対する運用率 | 7.29%(年利) | |
入金額に対する配当利回り | 2.23%(年利) |
現物取引なら、最初に600万円は入金しないと不自由だ。複数銘柄を入れ替えながら運用し、手元に買付余力を残しておこうとすると、この程度は必要だと思う。
売却益や配当を全額再投資したほうが投資額は増やせるが、手元に確実に残る金額が欲しいため、売却益の20%と配当は預金している。これらは再投資に回すことも出来たため、運用率の計算をする際は入金額から相殺していない。
株をするからには運用率7%は欲しいと思っていたので、7.29%はまずまずだと思う。ただし、運用率がプラスに転じたのは12年6月からで、リーマンショックのときはマイナス50%前後という惨状だった。
私の場合、株を始めて2か月半でリーマンショックが始まり、持ち株の評価額がどんどん下がっていった。あまりのひどさに損切りする気にもなれず、塩漬けして配当をもらい続ける決意をした。銀行に預けるのと同じと考えたのだ。元々好きな企業ばかり購入していたので、長期保有でよいという気持ちもあった。この投資方針は現在も変わらず、結果的に損切りは一度もしたことがない。
アベノミクス効果で、私はリーマンショックで下げた全銘柄が復活したが、鉄鋼のように復活していない業界もある。自虐的ブログで知られる「もぐらの株ブログ」を見ればわかる。もぐら氏も余裕資金で運用しているからこそ、ブログを続けていられるのだと思う。リーマンショック前に株ブログを公開していた人の多くが、すでに閉鎖しているのが現実だ。
配当利回りは、長期保有する株主のことを考えると、もっと高くなってほしい。4%ぐらいあれば、定期預金をやめて投資に回そうという気になるのではないか。
5年間を振り返って思うのは、やはり株価が暴落したときこそ、買いどきだということだ。リーマンショックや東日本大震災の底値で購入していれば、誰でも数倍に増やせていた。13年に入ってからも、4月~5月の乱高下の谷間を狙えば、チャンスは数回あった。そのタイミングで余裕資金があるかどうかが肝心で、私は指をくわえて眺めている状況だった。これから株を始める人は、証券口座を開いたからといってすぐに購入せず、チャートを眺めて「エア取引」を続けるとよい。そして大きな下落を待つべきだろう。
決断を失敗したことも多かった。私自身が迷った例としては、11年11月のオリンパス粉飾決算がある。東京証券取引所から監理銘柄に指定され、株価は半値以下になったが、私は上場廃止はないと感じていた。そこで購入すればよかったのだが、最後の勇気がなかった。情けない。
12年10月のソフトバンクによるイーアクセス買収では、9月下旬にイーアクセスを売却したばかりだった。それが買収発表で4倍になった。株の世界に仮定の話はないが、もし保有を続けていたら、約450万円の利益が出ていた計算だ。この5年間の差引損益を上回る額だ。悔しくてたまらない。
最近では、「パズル&ドラゴンズ」のガンホー・オンライン・エンターテイメントのように、信じられない急騰を続けている銘柄もある。年初に1株購入していれば、1,000万円以上の利益が出ている計算だ。もっと前からチェックしていれば、億単位の利益もあり得た。株にはこうした夢もあるわけで、その宝探し(企業研究)をするのが楽しいと感じる人は、株に向いているかも知れない。
株式投資は14年から税金が20%になり、救済措置としてNISA(少額投資非課税制度)が始まる。トレード数をこなすなら今年だし、NISAになにを入れるかも充分検討する必要がある。これから始める人はよく考えてほしい。