付録の万年筆欲しさに雑誌を買うなら、1,050円のパイロット「カクノ」を買ったほうがいい


この記事は2014年1月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。

万年筆が静かなブームということで、付録に万年筆を付ける雑誌が続いている。

「ききらら☆雑誌付録レビュー」に近年の詳細なリストがある。これ以外に、日経BP『日経アソシエ』2013年11月号(税込690円)はセブン-イレブン限定で万年筆が付いていた。セブン-イレブンでは、他の雑誌でもクリアファイルが付くなど差別化が目立つようになっており、再販制度への挑戦なのかと思う。

私的電脳小物遊戯「日経ビジネスアソシエ・手帳大全×万年筆(日経BP/セブンイレブン)」

私は『DIME』2013年5月号の「DIMEオリジナル スマート万年筆」と、前述の『日経アソシエ』2013年11月号の「セブン-イレブン限定プレゼント 日経アソシエ特製万年筆」を入手したが、『DIME』は半月ほどでインナーキャップが壊れ、『日経アソシエ』は数日でインクが出なくなり、両方とも捨てた。

付録の万年筆に対し、ネット上では付録とは思えない質感との評価もあるが、私は粗悪な万年筆を付けることが、万年筆ファンを増やすことになるとは思えない。いま万年筆は100円ショップでも販売しており、大量生産すればコストは相当下げられるはずだ。付録の万年筆には、所詮付録としてのクオリティしかないと思う。

2013年は、パイロットから初の入門用万年筆「カクノ」が1,050円(税込)で発売され、上位クラスのニブを使用し、カートリッジ/コンバーター両用で高い評価を得ている。ペリカン「ペリカーノJr」のように小学生をターゲットにした製品だが、大人も気軽に使える一本だ。付録目当てに雑誌を買うなら、あと数百円足してカクノを購入したほうが、ずっと長く使えるだろう。

付録の万年筆は、金属パーツの使い方がチープだ。デザインを重視するなら、大人の入門用として絶大な支持を集めるラミー「サファリ」を買えばいい。変な金属パーツを使われるより、ポップなABS樹脂のほうがセンスを感じる。アマゾンなら本日現在、正規輸入品が1,900円(税込)から購入出来る。

雑誌に万年筆が付録で付くようになったのは、休刊した小学館『ラピタ』2005年11月号からだが、1970年代には旺文社『中一時代』と学研『中一コース』が、年間購読予約特典として万年筆をプレゼントしていた。付録で万年筆ファンが増えるのなら、もっと以前から万年筆は身近な存在になっていなければならないが、逆に80年代には万年筆はほとんど使われなくなった。現在のように万年筆が見直され始めたのは、2000年代以降の話である。

機能的には、万年筆より優れた筆記具はいくらでもある。それでも人々が万年筆を使おうと思うのは、自分に合ったニブとインクフローの探求、インク交換の楽しみ、そしてなによりも、自分なりの一本と出会ったときの喜びだと思う。そう考えたとき、粗悪な万年筆を付録に付けるのは、逆効果にならないだろうか。万年筆マニアなら、改造して使いやすくすることも出来るだろうが、大多数の読者にとっては「これが万年筆か」ということになってしまう。70年代に中学生だった世代なら、いま雑誌の編集長クラスではないかと思うが、粗悪な万年筆で万年筆嫌いになった思い出はないのだろうか。

私自身、付録やノベルティに弱いので、頭ではこのように考えていても、ついつい買ってしまう。『日経アソシエ』は書店で買ってから、「私的電脳小物遊戯」を見てセブン-イレブンでも買ってしまった。ううむ、それが売る側の狙いか。自戒を込めて書いておきたい。なお、「私的電脳小物遊戯」自体は愛読している素敵なブログであり、貴重な情報源となっていることを感謝している。

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(株)パイロットコーポレーション
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1件のコメント

  1. 確かに、雑誌の付録の万年筆は良い評判聞かないですね。
    oggiという女性誌に先日万年筆が付録で付きましたが、
    これはなかなかよかったですよ!
    今使ってますが、かなり使えます。
    もう書店には残ってないと思うのですが・・・

    ただ、やはりハズレは存在したみたいで、
    私が最初に買ったものは軸のネジ受けが外れており、
    再起不能になってました。
    すぐに出版社に連絡したら新しいものを送ってくれて、
    これは非常に良いものでした。
    付録でこれ?と思えるほどの書きやすさです。
    たぶんペリカンのコンバーターも装着可能みたいです。

    でもこの先kakunoレベルの付録万年筆は
    絶対になさそうですね(苦笑)

  2. 3万円以上の万年筆より、実用的で書き味抜群の万年筆が

    プラチナ万年筆のプレピー 0.3mm !!!!

    中細字で、6年目に突入しているがとてもいい感じ。キャップが割れやすいので事前にセロテープをはめるところに近いところに3周しておけばよい

    8万円のモンブランをもっているが使うのをやめ、プラチナ万年筆のプレピー 0.3mmをつかっている。

  3. 私もプレピーの書きやすさに影響されプラチナの3776のボルドーをこの間買ってしまいました。 でもなんだかプレピーの方がなめらかで良いかも。 くやしいです。
    でも3776は細字のくせにフローがとても良くて感心しています。 もう少し使い込んでプレピーよりなじんでくれると嬉しいです。

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