父の喪中なので、喪中はがきを注文した。文面などは人それぞれだと思うが、私がネットで注文する際に留意した点がいくつかあるので紹介したい。
- 官製はがきか私製はがきか
最初に迷うのがこれだと思う。喪中はがきと言えば郵便番号枠がグレーの私製はがきが定番だったが、料額印面が胡蝶蘭の官製はがきが出来た。切手を貼る手間がないのは魅力だ。郵便番号枠が赤なのを気にする人もいるようだが、それよりも私は弔事用50円切手(葦に流水模様)のデザインが好きなので、最終的に私製はがきを選んだ。私製はがきを選ぶ場合は、切手面に差出人の郵便番号枠がないこと、プリンタとの相性もチェックする必要があるだろう。
- 印刷色は黒か薄墨か
私製はがきは郵便番号枠がグレーなので、本文も上品な薄墨印刷にした。印刷料金は黒と変わらないようだ。これは完全な好みだと思う。
- そもそも喪中という言葉は適切なのか
父は浄土真宗だった。浄土真宗本願寺派東京教区の僧侶有志によるホームページ「POSTEIOS研究会」によると、そもそも浄土真宗は「死を不幸なこととして限定しない」考え方で、喪中という概念もない。このため年賀状を欠礼する必要は本当はなく、欠礼する場合でも喪中という言葉を使わずに書くようアドバイスしている。
そうは言っても喪中を使わないと文章が冗長になるし、喪中はがき自体が慣習となっていると思うので、無宗派の私としては普通に喪中を使わせてもらうことにした。
- 享年を使うか
享年は数え年を使うのが一般的だが、最近は満年齢で享年を言う場合も増えている。このため、享年と書いてしまうとどちらなのかわからなくなる。私は享年と書かずに、単に「××歳で永眠いたしました」にした。これなら実年齢だとわかるだろう。法事や墓石は数え年の享年だが、喪中はがきは故人の年齢を知らせることも目的なので、私は満年齢のほうが適当だと考えた。印刷業者は数え年を勧めるところが多いので、満年齢で書きたい人は注意すべきだろう。
- 「ご厚誼」「ご交誼」どちらにすべきか
よく使われる決まり文句として、本年中の「ご厚情」に対し明年の「ご厚(交)誼」というのがあるが、「ご厚誼」「ご交誼」どちらにすべきか迷った。これについては、「松本おじさんのおじさん通信」というサイトで次のような説明があり、説得力があるので私も「ご厚誼」にした。
交誼=親しい交わり 厚誼=心からの親しい付き合い,手厚い親切
私は前が「ご厚情」(厚い情け)と来て明年も変わらずなら「ご厚誼」とすべきじゃないかと思う次第。
今年は熱い情けをいただきありがとうございました、来年もかわらず(そこそこの、ふつうの)親しい付き合いをしてくださいというのもおかしいよね。
来年も変わらず心からの親しい付き合いをお願いしますというのが正しいと思うのだが。 - 印刷業者の例文をよくチェックすること
私が見た印刷業者の例文の中には、「本年中に賜りましたご厚情」ではなく、「生前賜りましたご厚情」というのもあった。喪中はがきを出す相手には、故人と面識のない人もいるわけで、これは明らかにおかしいと思う。年賀状を欠礼する本人が「本年中に賜りましたご厚情」でなければならない。また、「永眠」ではなく「逝去」を使っているところもあった。「逝去」は他人の死を敬って使う言葉で、身内が使うのはおかしいと思う。印刷業者だからと言って必ずしも正しいわけではなく、例文を使うときはよくチェックすべきだ。
ほかにも細かい語句の選択や命日まで入れるかなど、人によっていろいろ考えがあると思う。そうなると、本文を自由に変更出来る業者でなければならず、例文の一部しか差し替えられないところは難しい。本文全体を編集可能で、編集結果をその場でPDFなどで確認出来る業者が望ましい。単なる欠礼状だと言ってしまえばそれまでだが、短い文章の中にも一語一句思いを込めて選びたいものだと思う。
(2011年1月9日追記)
こうして11月上旬に投函した喪中はがきだったが、約8%の人から年賀状が送られてきた。詳しくは「喪中はがきを送っても約8%の人が年賀状を送ってくる」を読んでいただきたい。
(2014年10月19日追記)
私が使ったのは「挨拶状ドットコム」だが、とてもよかったので再度利用した。