定番商品を廃番にする無印良品は説明責任が必要だ


この記事は2012年11月に掲載されたものです。
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無印良品は、業績が低迷した2000年ごろから大きく変化したと言われる。西友のプライベートブランドとして「わけあって、安い」をキャッチフレーズに開発された創生期から、生活者の声を反映した商品開発へと舵を切ったわけだが、その過程で大きな特徴だったロングセラーも保証されなくなったことに、以前からの購入者は気づいていると思う。

「再生紙ダブルリングノート・ドット方眼 本文A5サイズ・90枚」

「再生紙ダブルリングノート・ドット方眼 本文A5サイズ・90枚」(2007年ごろから24穴・角穴、それ以前は21穴・丸穴だった)(「まいにち雑貨」より)

それまでの無印良品は、定番商品をいつでも買えることを強調していた。値段の張る家具なども、同じシリーズのものを少しずつ買い足していけるとしていた。現在はどこにも明文化していないが、当時はこうした安心感を宣伝文句にしていたと記憶している。それを信じて、私も収納家具や収納用品を揃えていった一人である。

現在の無印良品はどうだろう。ロングセラーどころか、1シーズンで消える商品もある。生活者のニーズが多様化し、多品種少量生産になったことが要因だとは思うが、それにしても廃番になる商品が目立つ。「改良」「値下げ」という名の下に、前シーズンまであった商品が、いつの間にか店頭から消えてしまう。

特に家具が責任重大だと思う。ネットを見ても、少しずつ揃えてきたバーチ材チェストがあと一つというところで廃番になったという、同情すべき質問があった。材質だけでなく、木製収納のサイズも09年春夏シーズンから変更された。現在は幅40×奥行40×高さ83cmを基準としているが、以前は材質によって異なり、うちのチェストは幅43.5×奥行42×高さ83cmだ。奥行が異なるので、これでは前ツラが揃わない。いきなり変えるのではなく、並行期間を置いて購入済みの客に案内するなど、救済措置が必要だったと思う。

文房具では、私が長年愛用していた「再生紙ダブルリングノート・ドット方眼 本文A5サイズ・90枚」が、昨年から消えてしまった。類似の商品として、「再生紙ダブルリングノート・ドット方眼 本文A5タイプ・白・70枚・ゴム留付」「リサイクル上質紙ダブルリングノート・ドット方眼 ベージュ・A5・白・70枚・ゴム留め付き」はあるが、表紙と本文用紙が全く別物だ。無印良品サイトに12年4月4日付でこんな報告が載っている。

ご意見・お問い合わせ
ダブルリングノート ドット方眼A5サイズは廃番なのでしょうか。今使用しているものを再度購入しようとしてお店をまわっているのですがどこにも売っていません(≧≦)_がわにコシがあるので外での打ち合わせの時にすごく使いやすかったんです!普通のノートだとコシがないのでバインダーが必要だし。。。大きさもちょうどいいので。。再販してほしいです!

回答
ご意見箱に投稿いただき、ありがとうございました。大変申し訳ございませんが、現在のところ再販予定はございません。お客様のご要望にお応えできず恐縮ではございますが、どうかご了承くださいますようお願いいたします。

そう、こんなに極厚でコシのある表紙は見たことがない。生成りの再生紙・ドット方眼で、雑記に最適である。生成りは無印良品創生期からの伝統色だ。表紙に汚れが付きやく、本文もやや書きづらいかも知れないが、文房具を代表するロングセラー商品を、こんなに簡単に廃番にしていいのだろうか。再販出来ないなら、理由をきちんと説明してほしいものだ。

7,000アイテム以上の商品を、すべて維持しろとは言わない。ロングセラーをフェードアウトしてしまう企業はほかにもある。だが、少なくとも定番商品をいつでも買えることを売りにしていた無印良品は、それを信じた購入者に対し説明責任があるはずだ。無印良品の新しいコンセプトを示した03年3月8日付の新聞広告「無印良品の未来」。本来は、この年にロングセラーの見直しを過去の購入者に対して詫びるべきだったと思う。

もちろん、いまでも私は無印良品を買っている。他のブランドでよいものがなく、最後は無印良品というパターンも少なくない。ただし、いまはその商品がこれからもあるとは限らないことを意識し、必要なものは買いだめする。

中には「再生紙ダブルリングノート・無地 A5・ベージュ・80枚」のように、廃番後に再販されたものもある。この経緯はブログ「トイレのうず」が詳しい。この筆者の友人が語った「ずっと同じ物を使いたいから無印で買うのに」に、私も同感だ。